大切なご愛艇を常にベストコンディションに保つためにも、最低でも1年に1回はクルーザーを上架し、船底の貝落としと船底塗装を行うことが良いとされています。
しかしながら上下架作業は、上架するための作業場所を探したり、クレーンや架台などの設備を整えたりと、何かと大変。
船底に付着した貝を自分で落とし、船底塗装を行うとすると、体力も時間も相当かかってしまいます・・・
「クルーザーの上架作業はどうして必要なの?」
そんな疑問にレグルスマリンがお答えします。
上架作業とは
自動車整備工場をイメージしてみてください。
自動車も、通常は地面(道路)に面していますが、リフトアップして普段はなかなか確認することができない足廻りや下廻りなどを整備・点検をすることがあります。
クルーザーも自動車同様、通常は海上に浮いているクルーザーを、陸地に上げて整備を行うことを『上架作業』と言います。
上架作業の必要性
定期的な船体洗剤洗浄を行い、ピカピカできれいなクルーザーですが、常に海上で係留しているクルーザーには、普段見えない箇所があります。
それは・・・
「船底」。
船底の状態を確認するには、クルーザーを陸地に上げる必要があります。
● 見えないところで繁殖しているフジツボ
海岸や船着場、マリーナに出かけたとき、”あるモノ”を見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
岩や岸壁、係留杭にびっしりとへばり付いているモノ・・・
これがフジツボです。
常に海上で係留しているクルーザーの船底には、フジツボの付着は避けられません。
普段見えにくい船底には、想像している以上に貝やコケなどが付着しています。
● フジツボの付着は速度・燃費の低下につながる
フジツボがクルーザーの船底に取り付くと、フジツボの抵抗によって、速度で30%以上、燃費でも40%程の影響を受けてしまいます。
また、長時間クルーザーを走らせない状態だと、プロペラ・シャフト・ラダー・海水冷却水吸入口などの金属部分へもフジツボ等の海洋生物が付着し、速度低下につながります。
● オーバーヒートし、エンジントラブルにつながる可能性も
エンジンの海水取入口にフジツボ等の貝類や海藻類が付着すると、詰まりを起こしてエンジン内へ送られる冷却水の量が減少し、オーバーヒートして焼き付けを起こすおそれがあります。
クルーザーの心臓といわれるエンジンが故障してしまうと、エンジンの大きさによって異なりますが、1機当たり200万円から高いものでは1,000万円を超える修理代が発生することも。
上架して行うメンテナンス
船底貝落とし
船底やプロペラ、シャフトなどに付着したフジツボや貝類・海藻類は、高圧洗浄機を使って除去していきます。
高圧洗浄だけでは落としきれない部分は、手作業で貝を落とします。
船底に付着した不要物を取り除くことにより、フジツボなどによる抵抗を減らすことができプロペラの推進力も維持できるため、クルージング中の燃費や航行スピードを保つことが可能となります。
エンジンの海水取入口に付着した貝類を除去することで、オーバーヒートを防ぐことにも繋がります。
また、シャフトやラダー、船底部に取り付けてある防食亜鉛も、同時に交換していきます。
船底塗装
船底塗装はクルーザーのメンテナンスのなかでも最重要項目の1つです。
船底塗装は、「塗装」といっても単に船底に色を塗る事ではありません。
クルーザーの船底やプロペラに塗装を行うことで、フジツボなどの貝類・海藻類や付着物をつきにくくする防汚効果があるのです。
クルーザーの船底塗装は、プロペラ部分など船底に付着した海藻類やコケ類、貝類などを除去し、高圧洗浄で綺麗にした後、塗装します。プロペラやシャフト部分の塗装は、機械を使って削り落とし、専用の塗料を塗ります。
塗料の塗布は塗りムラなどが出ないようにしっかり施工する必要があったり、塗料を乾燥させる時間や2度塗り作業もあるため、クルーザーの大きさによって差がありますが、船底塗装の工程は4人のスタッフで行っても約7~10日はかかってしまいます。
消耗部品交換
クルーザーも自動車と同様、消耗部品があります。
部品によっては、クルーザーを上架しないと交換できないものがあるため、レグルスマリンでは船底塗装とセットで消耗部品交換作業を行うことをおすすめしています。
【主な消耗部品】
・ エンジン・発電機のVベルト交換
・ 海水冷却水ポンプのインペラ交換
・ ジンク(保護亜鉛)交換
・ エアーフィルター交換
・ 油水分離フィルター交換
・ エンジンオイル交換
・ オイルフィルター交換
・ ギヤオイル交換
・ ギヤオイルフィルター交換 など
近年、小型船舶の機関故障による海難事故が多発しています。
クルーザーに乗る・乗らないは関係なく、1年に1度、定期的に部品や消耗品を交換する必要があります。
上下架作業の主な手順
ここでは、レグルスマリンスタッフ目線での作業手順をご紹介します。
(当社では、トラべリフトの操作・移動や、ベルトの固定等は上架場の専門業者様にお願いしております)
① 上架するクルーザーを上架する桟橋まで回航
② クルーザーをトラべリフトの下、上架位置に合わせる
③ 保管場所(メンテナンス場所)に到着
④ 船台や、尺角、ボートスタンドを使用して固定されたら上架完了
⑤ 上架メンテナンス開始
(船底貝落とし・船底塗装・消耗部品交換 等)
⑥ 作業を終え、異常が無いことを確認したら下架準備
⑦ トラベリフトによってクルーザーを海上へ下す
⑧ 上下架桟橋からご契約バースまで回航
このような一連の作業を終えたら、上架作業の終了です。
大変な上架作業はすべてレグルスマリンにおまかせください
上架作業は1人で行うには、時間も体力もかかる大変な作業です。
レグルスマリンでは保守点検管理をご契約のオーナー様に下記のサポートも承っております。
・ 上下架予約代行
・ 上下架作業(バース⇔上架場 回航)
・ 船底貝落とし
・ 船底塗装
・ 消耗部品交換
レグルスマリンの選べる3つのサポートプラン
レグルスマリンでは「基本プラン」・「セレクトプラン」・「フルサポートプラン」の3つのプランから、オーナー様のご希望に沿ったプランをご提案いたします。
卓越した技術のスタッフによるきめ細やかな点検・修理・メンテナンスから船体洗浄、船内清掃、船長・クルー派遣、操船講習に至るまで、オーナー様のマリンライフをサポートするメニューをご用意しております。
基本プラン
月1回の機関機器点検と船体保守のスタンダードな保守管理プランです。基本プランならご愛艇の保守管理を税込 33,000円/月〜ご依頼可能です。
【サポート内容】
・月1回の機関機器点検
・船体保守
セレクトプラン
基本プランにご希望のオプションを追加して、オーナー様のニーズに合わせた管理プランです。6つのオプションをご用意していますので、オーナー様の様々なお悩みやご希望にそった、オリジナルのプランの作成が可能です。
【サポート内容】
・月1回の機関機器点検
・船体保守 +ご希望のオプションをお選びください
▶︎船体洗剤洗浄
▶︎負荷運転点検(洋上試運転点検)
▶︎船体メンテナンス
▶︎船内清掃
▶︎運航スタッフ派遣
▶︎操船講習
フルサポートプラン
機関機器点検・負荷運転点検・船体洗剤洗浄・船内清掃・船体メンテナンスと総合的にご愛艇を保守管理させていただく、フルサポートなプランです。専門知識も必要ありません。レグルスマリンに全ておまかせください。
【サポート内容】
・月1回の機関機器点検
・船体保守
・船体洗剤洗浄
・負荷運転点検(洋上試運転点検)
・船体メンテナンス
・船内清掃
・運航スタッフ派遣※
※船長またはクルー派遣付きプランをご契約の場合
定期的な上架整備で安全で楽しいマリンライフを
今回は、クルーザーの上架作業の必要性についてご説明しました。
燃費や速度の低下、エンジンのオーバーヒートを防ぎ、安全なマリンライフを送るためにも、最低でも1年に1回の定期的な上架整備・メンテナンスを心掛けましょう。
また、シーズン直前は上架場の予約が大変込み合いますので、お早目の上架整備をおすすめします。
上架作業にお困りのオーナー様は、ぜひレグルスマリンにご相談ください。